ペットアレルギー:子供と犬が一緒に仲良く暮らせる為に調べた事⑤

ジオはいつも息子に寄り添っていました

E.子供とペットアレルギーに関して

ペットは最も一般的なアレルギーの原因だそうです。

イギリスの「Allergy UK」によると、喘息の子どもの約半数が猫に対するアレルギーがあり、同様に40%は犬に対するアレルギーがあるとのこと。

ペット含めた吸入性アレルギーは喘息との相関が強いそうですが、これはアレルギーの一症状として喘息症状が出るだけではなく、もともと喘息を持っていると吸入性アレルギーとなるアレルゲンの種類が増える可能性があるそうです。

つまり喘息を持っている子は、後々に犬や猫に対してもアレルギー症状を起こすようになりうるという事です。

既に動物がいる我が家。同居が子供のアレルギー発症のリスクになるかどうか、またその根拠を知りたくて論文を読みました。

論文を調べて

子供とペットアレルギーの発症に関しては、多くの論文がありましたが、一定の見解は得られていないという事が分かりました。
  1. 幼少期より同居しているとアレルギー発症率があがるという説。

  2. 逆に幼少期、さらには生後まもなくから同居している方が、アレルギー発症率が下がるという説。

  3. 最後に同居の有無とアレルギー発症は関係性が無いという説。 
相反する3つの説を裏付けた研究論文が沢山あり、結論の出ていないテーマです。

幼い子がペットと同居する事でアレルギー発症の面において悪い影響を与えると結論付ているものが多くありましたが、それに反した結論を出している論文が自分が予想していた以上に沢山ありました。

ペット飼育者としては大変安心するうれしい論文です。
以下、それらの論文を中心にいくつか紹介します。

1.ペットと同居していると子供のアレルギー発症率があがるという論文

Pyrhönen, K., Näyhä, S., & Läärä, E. (2015).
Dog and cat exposure and respective pet allergy in early childhood.
Pediatric Allergy and Immunology, 26(3), 247-255. doi:10.1111/pai.12369【E-1】

2.ペットと同居している方が、子供のアレルギー(ペット、喘息、アトピー性皮膚炎、鼻炎)発症率が下がるという論文

Schuijs, M. J., Willart, M. A., Vergote, K., Gras, D., Deswarte, K., Ege, M. J.,etc.(2015).
Farm dust and endotoxin protect against allergy through A20 induction in lung epithelial cells.
Science, 349(6252), 1106-1110. doi:10.1126/science.aac6623【E-2】

Epstein TG, Bernstein DI, Levin L, et al.
Opposing Effects of Cat and Dog Ownership and Allergic Sensitization on Eczema in an Atopic Birth Cohort (2011).
Pediatrics, 128(Supplement 3), S100.1-S100. doi:10.1542/peds.2011-2107m【E-3】

Renz, H., Mutius, E. V., Illi, S., Wolkers, F., Hirsch, T., & Weiland, S. K.(2002).
TH1/TH2 immune response profiles differ between atopic children in eastern and western Germany.
Journal of Allergy and Clinical Immunology, 109(2), 338-342. doi:10.1067/mai.2002.121459【E-4】

Environmental Exposure to Endotoxin and Its Relation to Asthma in School-Age hildren. (2002). New England Journal of Medicine, 347(12), 869-877. doi:10.1056/nejmoa020057【E-5】

Thorsteinsdottir, S., Thyssen, J. P., Stokholm, J., Vissing, N. H., Waage, J., & Bisgaard, H. (2016). Domestic dog exposure at birth reduces the incidence of atopic dermatitis.
Allergy, 71(12), 1736-1744. doi:10.1111/all.12980【E-6】

Jhun, Iny, and Wanda Phipatanakul.
Early exposure to dogs and farm animals reduces risk of childhood asthma. Evidence Based Medicine, vol. 21, no. 2, 2016, pp. 80-80. 【E-7

Lynch, Susan V., et al.
Effects of early-life exposure to allergens and bacteria on recurrent wheeze and atopy in urban children.
Journal of Allergy and Clinical Immunology, vol. 134, no. 3, 2014, pp. 593-601.e12. 【E-8】

Ownby, D. R. (2002).
Exposure to Dogs and Cats in the First Year of Life and Risk of Allergic Sensitization at 6 to 7 Years of Age.
JAMA, 288(8), 963. doi:10.1001/jama.288.8.963【E-9】

Fall, T., Lundholm, C., Örtqvist, A. K., Fall, K., Fang, F., Hedhammar, Almqvist, C. (2015).
Early Exposure to Dogs and Farm Animals and the Risk of Childhood Asthma.
JAMA Pediatrics, 169(11), e153219. doi:10.1001/jamapediatrics.2015.3219【E-10】

Lynch, S. V., Wood, R. A., Boushey, H., Bacharier, L. B., Bloomberg, G. R., Kattan, M., Gern, J. E. (2014).
Effects of early-life exposure to allergens and bacteria on recurrent wheeze and atopy in urban children.
Journal of Allergy and Clinical Immunology, 134(3), 593-601.e12. doi:10.1016/j.jaci.2014.04.018【E-11】

HESSELMAR, Aberg, Aberg, ERIKSSON, & BJORKSTEN. (1999).
Does early exposure to cat or dog protect against later allergy development?
Clinical Experimental Allergy, 29(5), 611-617. doi:10.1046/j.1365-2222.1999.00534.x【E-12】

Reijonen, T. M., Kotaniemi-Syrjanen, A., Korhonen, K., & Korppi, M. (2000).
Predictors of Asthma Three Years After Hospital Admission for Wheezing in Infancy.
PEDIATRICS, 106(6), 1406-1412. doi:10.1542/peds.106.6.1406【E-13】

3.子供がペットと同居することは、子供のアレルギー発症とは無関係であるとする論文 

Schoos, A. M., Chawes, B. L., Jelding-Dannemand, E., Elfman, L. B., & Bisgaard, H. (2016).
Early indoor aeroallergen exposure is not associated with development of sensitization or allergic rhinitis in high-risk children.
Allergy, 71(5), 684-691. doi:10.1111/all.12853【E-14】

以上の論文を読み、自分の得た理解をまとめると、
  1. 抜けた毛と共に落ちた皮膚が主なアレルゲンとなる

  2. しかし、幼少時に動物のフケに接触することがアレルギー抑制につながる可能性があるという説もあり、実際に多くの動物がいる農場で育った子どもの喘息発症のリスクは約50%低く、さらに免疫力を高める効果があると考えられると記された論文もある。

  3. ペットとの同居により、ペットアレルギー含め、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の発症リスクが下がるという研究論文は多くあるが、その根拠は、断定されていない。

  4. 断定されていないが、現段階では“衛生仮説”が有力。
    これは、幼少期に感染症を繰り返した方が将来のアレルギー発症を防ぐのではないかという考えで、細菌から出るエンドトキシンを呼吸とともに吸入することで、アレルギー発症を抑制するのではないかという説。
    これは、清潔を過度に意識した生活は逆に子供がアレルギーになりうるという説にもつながる。これを裏付ける論文として、食洗機を使用しているより手洗いをしている家庭のほうがアレルギーが少なくなるという論文がある。
以上の論文を見て、私は息子へのペットが引き金になるアレルギー発症の心配は全くしていませんでした。

我が家の息子

しかし生後数か月で、慢性乳児湿疹、アトピー性皮膚炎、気管支喘息を発症し、また離乳食を食べた後に顔面の発赤が目立つようになりました。

小児科、アレルギー科、耳鼻科を受診し、血液検査(RAST)の結果、多種の抗原に対し陽性が認められ、息子に吸入性・食物性アレルギー素因がある事がわかりました。

★動画はこちら↓★
息子の誕生と決意
ペットとの同居が子供の将来のアレルギー発症のリスクを減らすという臨床研究、そしてその根拠は解明されつつあります。

しかし、息子のようにアレルギー素因があり、かつ既にペットを飼っている場合にはどうしたらいいのか・・・。 あわてて対策を調べました。

ベビーチェアの傍はハリクのお気に入りの場所です

対策
日本アレルギー学会の報告では、「アトピー体質を持つ小児のペット飼育は推奨できない」とあります。

それでは、すでにペットを飼っている家庭はどうするべきか?
これについては、「Asthma UK」のアドバイスがありました。
  • ペットを寝室に入れない。
  • 定期的にシャンプーする。
  • 空気清浄器や高性能の掃除機が効果的である可能性がある
  • カーペットの除去
息子に食物性(小麦、大豆、卵、オボムコイド)、吸入性アレルゲン(ペット、ハウスダスト)に対する多くのアレルギーの可能性がある事が分かってから、小児科・アレルギー内科・耳鼻科のクリニックや病院などに受診するようになりました。

その中で、一番対応に困ったのは、ペットアレルギーです。ペットを手放すという選択肢を第一選択する決断はできません。各先生のおっしゃることも一定していません。

唯一共通していたご意見は「なんとも言えない」でした。

「同居により、ペットに対するアレルギー症状が発症してしまうかもしれないし、逆に、 ほどよい距離を保ちながら同居する事により、将来的に発症するかもしれないペットに対するアレルギーが発症しなくなるかもしれない。

つまり、先生方のご経験においても、臨床研究においても、明確な事は分からないということ。結論の出ていないテーマだから当然です。
近所の公園へ家族みんなでピクニック

これからいったいどうしたらいいのか?

一時は愕然としましたが、まず自身が勉強し、そして家族で相談し我が家でできる事から対策を開始することにしました。

アレルギー症状が明確に出るようになったら、症状発現のきっかけ(唾液などの直接的な接触、間接的な接触、同一空間による吸入性の抗原の侵入)と、症状やその程度に合わせ、その都度対策を考えていく。

吸入性で何かしらの症状が出てしまうほどにアレルギーが重症なのであれば、最初は居住空間を明確に分離する、次に階を分ける、最終的には二世帯住居の様に玄関を分けることで、空気の行き来がない形に住まいをリフォームする。

アレルギー専門医のご意見の元、我が家ではこのような予定を立てました。
三人で会話しています
今後息子が同居できない程、ペットアレルギーの症状を発症してしまった場合、過去の対応を後悔しないようにその時々の必要な対策を十分に行うことにしています。

対策を行いつつ、息子にアレルギー症状が出ていないかを常に観察し、定期的にかかりつけアレルギー専門医に診察して頂き、ご指導を頂いています。

そして万が一、上記対策の最終段階であるリフォームを行う必要が生じた時に備えて今から少しづつ貯金もしています。

★動画はこちら↓★
思い出の写真集
 “子供と犬が一緒に仲良く暮らせる為に調べた事”①~⑤ 完

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コメント

  1. こんなにたくさん勉強されたんですね。確かに、ペットに対するアレルギーを検索すると、多く出てきますが、書いてあることが真逆だったりします。よくわからないと思っていましたが、まだ結論が出ていないテーマなんですね。相反する3つの考え方それぞれの論文を読まれ、ご自身の考えを持たれて今がある。数々の資格所有者であることはプロフィールから知ってはいましたが、ただの動物好きな方ではないんですね。驚きと、相反して、想像通りと納得している自分がおります。
    お子様の手術やアレルギー、ご自身も以前手術をされた。そのような事があったとは、これまでの動画やインスタでは想像も付きませんでした。憧れの家族、恵まれたご家庭(よい意味で)とばかり思っていました。
    でも、苦労もし、努力を重ね、一段となって乗り越えられているから、深みのある素晴らしい家族なのですね。
    そのような苦労を感じさせない明るいご夫婦だからこそ、多くの方が魅了され根強いファンがいるのですね。もちろん私もその一人です。
    私も動画編集はたまにやりますが、非常に大変な作業ですよね。でも、論文を読みあさり、自分の意見を持ち、それを文章にする事も、大仕事だと思います。
    本当に興味深いブログでした。

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  2. 勉強になりました。説得力がすごい!こんなブログは初めてです。
    普段から、調べものをするときはまず論文で調べるんですか?
    ペット情報サイトなどは利用しないんですか?
    調べたいテーマを検索すると、簡単にどなたかがまとめたブログやサイトが列挙されるので、私はついついそれで満足してしまっています。


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  3. すごい!!論文から自分の考えをしっかり組み立ててますね。すごいです。これからもブログやyoutubeの更新楽しみにしてます。

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  4. へーーー(゜o゜) 

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